北海道よりもはるか北、北極に近い氷の世界に住む人々は野菜が採れませんので、まず、野菜を口にしません。食料は肉や魚ばかりです。
北の人々は、栄養バランスが偏って心筋梗塞や脳梗塞などを招く生活習慣病に、陥っているに違いないと考えますよね。
ところが、肉も野菜も豊富な日本人よりも動脈の疾患が原因で亡くなる人の割合が圧倒的に少ないのです。
その秘密は現地の人(イヌイット)の魚を食べる量が多いからです。
EPAの摂取量が大きく、徹底して血液をきれいにします。
肉中心の食生活でもEPAを食事の度に摂取していれば、健康を害するリスクを抑えられます。
一方、日本では
日本人の魚介類の消費量は、食の多様化の影響で年々減少傾向が続いています。
水産庁のページにある水産物の消費動向によると平成18年頃、ついに肉類の消費量が魚介類を追い越してしまいました。
このような影響で、DHAが慢性的に枯渇しやすい状況が作られ、脂肪が豊富な食生活の影響でメタボ体質の人も増えています。
かつての日本人の多くは、魚や大豆食品を主なタンパク源にしていましたから、DHAが不足するような環境ではありませんでした。
おやつとして煮干しや鰹節などを食べていた時代は、食糧事情が豊かとは言えない状態でしたが、飽食の現代社会では栄養が豊富でもDHAは不足しています。
DHAを摂取するためには魚を食べることが必要です。
昔から魚は頭の働きに良いと言われていましたが、科学的には解明されていませんでした。
しかし、近年になって研究が活発になると、脳の記憶学習中枢の構成物質であることが分かりました。また、血栓を予防する効果も分かってきました。
では、1日にどのくらいのDHAやEPAを摂取すればいいのでしょうか?
以下にまとめています。
目次
厚生労働省 発表 DHA・EPAの一日あたりの適正摂取量は
2010年版の「日本人の食事摂取基準」で厚生労働省は、一日あたりのDHA・EPAの目標とする摂取量は、1g(1,000mg)です。
と言っています。ところが5年後。
最新 厚生労働省 発表 DHA・EPAの一日あたりの摂取量が存在しない?
厚生労働省は、脂質摂取量における最新の情報を発表しています。
2010年度版の「日本人の食事摂取基準」では、上記でもお伝えしていた通り、DHA・EPAの目標量を1gとしていました。
どこのDHA・EPAのサイトでも1g(1,000mg)を摂取しましょうと掲載しています。
しかし、2015年の最新版では、DHA・EPAの目標量は定められていません。
さらに困ったことに、「n-3系脂肪酸」という大きなくくりでの目安量にとどまり、具体的なDHA・EPAは提示されていません。
n-3系脂肪酸は、DHA、EPA、α-リノレン酸※などの総称です。
わかりやすく例えるなら、「日本茶(n-3系脂肪酸)=緑茶(DHA)、玄米茶(EPA)、ほうじ茶(α-リノレン酸)」って感じです。
※α-リノレン酸は、主に植物油であるエゴマ、亜麻に多く含んでおり体内でDHAやEPAに変換します
最新版には具体的な、緑茶(DHA)、玄米茶(EPA)の目安量が定められているわけではなく、日本茶(n-3系脂肪酸)の目安量が発表されたと思ってください。
では、「目標量」と「目安量」ってどっちが上なのって話ですが、調べてみたところ、どうやら目標量が上ですね。
n-3系脂肪酸の目安量が発表されていますので、以下に紹介します。
n-3系脂肪酸の一日あたりの目安量、年代別、妊婦、授乳婦対応版
厚生労働省が発表 2015年版 n-3系脂肪酸の目安量(g/日)
男 | 女 | |
---|---|---|
妊婦、授乳婦 | - | 1.8 |
0~5ヵ月 | 0.9 | 0.9 |
6~11ヵ月 | 0.8 | 0.8 |
1~2歳 | 0.7 | 0.8 |
3~5歳 | 1.3 | 1.1 |
6~7歳 | 1.4 | 1.3 |
8~9歳 | 1.7 | 1.4 |
10~11歳 | 1.7 | 1.5 |
12~14歳 | 2.1 | 1.8 |
15~17歳 | 2.3 | 1.7 |
18~29歳 | 2.0 | 1.6 |
30~49歳 | 2.1 | 1.6 |
50~69歳 | 2.4 | 2.0 |
70歳以上 | 2.2 | 1.9 |
乳児と小児、妊婦、授乳婦の目安量を含む2015年の全年齢対応版がありませんでしたので、まとめました。
最新版の「n-3系脂肪酸」は、年齢、性別で多少のバラつきがありますが、およそ2gを目安量としています。
2010年版はDHA・EPAで1gを目標量に算定しておいて、2015年版ではn-3系脂肪酸約2gを目安量にするって国民にわかりにくいですよね。
緑茶を1杯を目標にしていたのに、日本茶を2杯を目安にしなさいってことですかね。例えたらさらにわかりません。
体内で作り出せない必須脂肪酸だから欠かせないとはっきり認め、さらに数多くのDHAとEPAの研究結果を認めているも、効果が断定できないから、n-3系脂肪酸と大きくくくって約2gの目安量にしますだって。
DHA・EPAの各メーカーが思っていることを代弁します。
筆者も含め、多くの方が、DHAとEPAの効果を実感しています。
「2020年版までにしっかりとDHAとEPAの効果測定をし、目標量を定めてください。」
当サイトでは、厚生労働省に従い、やむなく成人の一日あたりのn-3系脂肪酸の目安量を約2gとさせていただきます。
DHA・EPAサプリメントからの摂取量は、その半分程度(1g)を上限としましょう。
厚生労働省のページで日本人の食事摂取基準2015年版が誰でも閲覧できます。
文字だらけで難しい内容ですが、興味のある方は是非こちらからPDFをダウンロードしてください。
食品とサプリの摂取量バランスと注意点
DHA・EPAサプリは、脳の活性化や血液の流れを良くする効果があるので、多くの愛飲者がいます。
DHA・EPAにはそれぞれの働きがありますが、それを同時に摂れば効果が期待できます。
適切な摂取量を摂り続ければ、健康効果があらわれてきます。
サプリを利用するのは、食事から摂取するよりはるかに効率的だからです。
サプリは栄養補助食品ですから安全性も高く、誰もが気軽に摂取できます。
およそ魚の切り身一切れ分に相当する量で、魚を毎日食べている場合は適度な量が摂取できているでしょう。
サプリ等も含めて摂取している場合は、過剰摂取に注意が必要で、1日に3g以上を超えていると副作用のおそれがあります。
吐き気や下痢のほか、出血が止まりにくくなる症状が出ることもあるため注意しましょう。
DHAは脂溶性のため、胃で食べ物を消化する時に摂取すれば、他の物と一緒に身体に取り込みやすくなります。
逆に空腹時は吸収率が一番悪いためにサプリメントの効果が出し切れません。
トランス脂肪酸が含まれているマーガリンやマヨネーズなどの食品と一緒に摂るのも止めましょう。
「つい最近のことが思い出せない」と感じるなら、DHAがかなり不足している可能性があります。
DHAは脳神経細胞膜で「リン脂質」という液状で存在し、脳神経細胞の生成に欠かせない成分です。
神経伝達物質の生産量が高まったり、脳内情報伝達が活性化するのは、このリン脂質が脳内に多く存在するからです。
細胞膜がやわらかくなり、脳内情報伝達が促進されます。
サプリメントでは多く摂りすぎると肝臓に負担がかかる場合がありますので、1日1gを目安にして残りは青魚料理で1g程度を摂取するのが理想的です。
歳だから仕方ないと思わず、一度DHA・EPAサプリメントをお試ししてみてはいかがですか。
まとめ
成人の一日あたりのn-3系脂肪酸の目安量は約2g。
DHA・EPAサプリメントからの摂取量は、その半分程度(1g)を目安に。
1日3g以上の摂取は避ける(過剰摂取は吐き気や下痢を引き起こすことも)。
過剰摂取は、効果を損ねますので、絶対にやめましょう。